チョムスキー:中南米の軍事化

ラテンアメリカの軍事化

ノーム・チョムスキー
2009年9月13日
In These Times

ジョージ・ワシントンの言葉を借りると、アメリカ合衆国は「幼児期の帝国」として建国された。国家領土の征服は、大帝国の挑戦であった。当初から[西]半球の支配は、重要な目標であった。

ラテンアメリカは、米国の世界計画における最重要性を保持している。もし米国がラテンアメリカを支配できなければ、「世界の他地域で成功裏に秩序を実現すること」を期待できない、とワシントンがチリのサルバドール・アジェンデ政権の転覆を検討していた1971年、リチャード・M・ニクソン大統領の国家安全保障委員会は見た。

最近、西半球問題は緊張を高めている。南米は、独立の前提条件である統合へ向けて動いており、国際的つながりを広げ、悲しみと苦難の海に対する富裕の欧州化された少数派による伝統的支配という内部の第一の障害に取り組もうとしている。

問題は、1年前、多数派である先住民が自らの階層からエボ・モラレスという大統領を2005年に選んだ南米最貧国のボリビアで起こった。

2008年8月、解職請求の国民投票でのモラレスの勝利の後、米国に支援された特権階級の反対派は、暴力に訴え、30名ほどの政府支持者の殺りくにまで発展した。

それに対して、新しく設立されたばかりの南米共同体(UNASUR)は、首脳会議を召集した。参加国(南米のすべての国々)は、「委任統治が大多数によって批准されたエボ・モラレス大統領の合憲政府を全面的、断固支持」を宣言した。

「南米の歴史で初めて、我々の地域の国々が我々の問題をどのように解決するか、米国の存在なしに決定している」とモラレス氏は見た。

その他の兆候において、エクアドルのラファエル・コレア大統領は、南米で米国に開かれた最後の基地であるマンタ軍事基地におけるワシントンの使用の終了を約束した。

7月、米国とコロンビアは、コロンビアの7ヵ所の軍事基地の使用と米国に認める秘密協定を結んだ。

公式の目的は、麻薬密輸とテロへの対抗である、「しかし交渉に精通するコロンビアの軍や文民の高官ら」は、AP通信に対して「ねらいは、ペンタゴンの作戦のためにコロンビアを地域の拠点にすることである」と語った。

報道によれば、この合意はコロンビアに米国の軍事供給への優先権を与える。コロンビアは既に、(別の分類であるイスラエル-エジプトを除いて)米国から軍事援助を最も受けている国になっていた。

コロンビアは、1980年代の中米戦争以来、半球内でとび抜けて最悪の人権記録を持っている。米国援助と人権侵害の相関関係は、長いこと学識関係者によって指摘されている。

AP通信もまた、コロンビアのパランケロ基地が「共同安全保障地点」となり得る事を提案する米空軍航空機動軍団の2009年4月文書を引用した。

パランケロから、「燃料補給無しにC-17(軍事輸送機によって、大陸のほぼ半分をカバーできる」と文書は述べている。これは、「地域交戦戦略の実現を助け、アフリカへの機動経路を支援する」という「世界的途上戦略」の一部を形成し得る。

8月28日、UNASURは、コロンビアの米軍基地を検討するためアルゼンチンのバリローチェで会議を開いた。激しい議論の末、最終宣言は、南米は「平和の地」として維持されなければならず、外国軍は、地域のどの国の主権や統合を脅かしてはならないことを強調した。そして、南米防衛会議に航空機動軍団文書を調査するよう指示した。

基地の公式目的は、批判の外ではなかった。モラレスは、彼のコカ農民組合員に発砲したボリビア兵に同行している米兵を目撃したと述べた。

「つまり、今や我々は麻薬テロリストだ」とモラレスは続けた。「彼らが我々を共産主義ともう呼べなくなった時、彼らは我々を破壊活動家と呼び、そして9月11日の攻撃以来テロリストと呼んだ。」モラレスは、「ラテンアメリカの歴史は繰り返す」と警告した。

ラテンアメリカでの暴力の最終的責任は、米国の非合法薬物消費者にあるとモラレスは述べた、「もしUNASURが消費を規制するためにアメリカへ派兵したら、彼らは受け入れるだろうか?ありえない。」

海外での麻薬対策の米国による正当化は、議論の価値があるとさえ見なされていることは、しかし帝国主義的思考の根深さのもう一つの事例である。

今年2月、ラテンアメリカ麻薬民主主義委員会は、過去数十年間の米国の「対麻薬戦争」の分析を出した。

ラテンアメリカの元大統領であるフェルナンド・カルドーソ(ブラジル)、エルネスト・セディージョ(メキシコ)、セサール・ガビリア(コロンビア)の手動による委員会は、麻薬戦争は完全な失敗であったと結論づけ、国内外での強行対策を避け、予防と処置というもと安上がりでより効果的対策へ向かう政策の大転換を促した。

少し前の研究や歴史的記録のように、委員会報告による目に見える影響はなかった。反応は、(「対犯罪戦争」や「対テロ戦争」のように)「麻薬戦争」は、結果によって明るみに出た公表された目的以外の理由のために続行されるという自然な県津論を強化する。

過去10年間、米国は軍事援助とラテンアメリカの文脈において脊髄を振るい上がらせる概念である「急進的大衆迎合主義」と戦うための軽歩兵戦術のラテンアメリカ将校の訓練を増やしている。

軍事訓練は、国務省からペンタゴンへ移行し、常に貧弱だが少なくとも最悪の虐待の一部に対しての抑止力となる議会の監視下に元々あった人権と民主的規定を排除している。

1950年代に解散した米第4艦隊は、コロンビアのエクアドル侵攻後すぐの2008年、カリブ海、中南米とその近隣海域を任せられて復帰した。

その「多様な活動には、対不正取引、戦域安全保障協力、軍同士の交流と二国間、多国間軍事演習を含む」と公式発表は示す。

南米の軍事化は、もっと広大な計画に連動する。イラクでは、巨大米軍基地の運命について、情報は事実上皆無であり、よっておそらく戦力投射のために残る。バグダッドの広大な都市の中の都市である大使館の費用は、予測されていた年間15億ドルから18億ドルへ上昇する。

オバマ政権は、パキスタンとアフガニスタンにも超巨大大使館を建設している。

米国とイギリスは、ディエゴ・ガルシアの米軍基地が計画されているアフリカ非核地帯から、太平洋にある同じような地域づくりの試みから米軍基地が制限外とされているように除外させることを要求している。

短く言えば、「世界平和」への動きは、オバマのキャンペーンスローガンを借りるところの「あなたが信じることができる変革」の中には入らない。

(原文は、こちら。)

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