クリントンの中南米歴訪

このほど、ヒラリー・クリントン米国務長官がラテンアメリカ諸国の歴訪を行なったが、日本はおろかアメリカの大手メディアさえもほとんど取り上げなかったが、中南米と米国の関係を考える上で非常に重要な出来事である。以下は、このブログでも度々紹介しているワシントンの革新系シンクタンク「経済政策調査センター(CEPR)」のマーク・ワイズブロット氏の記事である。
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ヒラリー・クリントンのラテンアメリカ「被害対策」訪問

2010年3月9日
マーク・ワイズブロット
Source: The Guardian Unlimited

ヒラリー・クリントンのラテンアメリカ歴訪は、ジョージ・W・ブッシュがさっさと逃げ出すために予定より1日早くアルゼンチンを離れた2005年の訪問とほぼ同じくらいの成功を収めようとしている。主な違いは、クリントンは抗議行動参加者や暴動の出迎えを受けていないことだ。そのため、彼女のボスであるオバマ大統領が、彼の前任者の政策の継続にもかかわらず、この地域で維持できている肯定的なメディアイメージに、クリントンは感謝することができる。

しかし、クリントンは、少なくとも深刻な問題があることを認識し何を言わないかをわきまえていたブッシュよりもさらに外交的に不格好である。「ホンジュラスの危機は、成功裏の結末へ向かっている。」とクリントンは、ブエノスアイレスで述べ、「暴力なしに行なわれた。」と付け加えた。

これは、彼女を迎える側の傷に塩を塗りこむもので、彼らは昨年6月のメル・セラヤ大統領の軍による追放と、それに続くアメリカ合衆国の独裁政権の合法化の試みを失敗としてだけでなく地域全体の民主主義への脅威と捉えている。

それはまた、クーデター政府が権力を維持し、民主主義支持の運動を弾圧するために使った政治的殺害、暴行、大量の逮捕、そして虐待を考慮しても、言葉にするのは理不尽なことである。最悪なところは、政府がいまだにこれらの犯罪を犯しているということだ。

今日、米国連邦議会の議員9名(議会指導部の何人かの民主党議員を含む)は、この暴力に関してクリントン国務長官とホワイトハウスへ書簡を送った。書簡にはこう書かれていた。

「ロボ大統領の就任以来、複数のクーデター反対派の有力者が襲撃されている。2月3日、以前に抵抗運動での活動に関係して殺害の脅しを受けていた看護師で組合の組織者のヴァネッサ・セペダは、絞殺されそして彼女の遺体はテグシガルパで車輌から捨てられた。2月15日、SITRASANAA労働組合組合員でホンジュラス抵抗運動の活動メンバーであるフリオ・フネス・ベニテスは、家の外でバイクに乗った正体不明の銃を持った男らに銃殺された。ごく最近では、反対派の活動家のクラウディア・ブリスエラは、2月24日、家の中で殺害された。不幸なことに、これらは数多くの活動家とその家族に対する襲撃の中のほんの3つである…。」

クリントン国務長官は、メディア閉鎖と警察弾圧で特徴付けられる選挙キャンペーン後に選挙で選ばれた大統領であるホンジュラスの「ぺぺ」・ロボと金曜日に会談する。米州機構と欧州連合(EU)は、選挙へ公式監視団派遣を拒否した。

連邦議会議員らはまた、クリントンがロボとの会談で、「ホンジュラスでの人権状況は、関係の更なる正常化と、そして財政支援の再開に関する今度の決定の重要な要素になるという強く明確なメッセージを送る」よう要求した。

これは、ホンジュラスの人権について、クリントンが連邦議会から受け取った3通目の書簡だった。8月7日と9月25日、ヒラリー・クリントン自身が所属する民主党の連邦議会議員らは、ホンジュラスで続く人権侵害への抗議とこの状況下での自由な選挙の開催が不可能なことをクリントンへ書いた。議員らは、2通目の書簡が送られた4ヶ月以上後の1月28日まで形式的な返答さえもらえなかった。これは、自らが所属する政党の選出議員に対する普通でないレベルの軽視である。

これらの新冷戦戦士にとって、大事なのはある一つの小さく貧しい国の社会民主主義大統領の一人を取り除いたことのみのように思える。

ブラジルでクリントンは、ベネズエラに対するいくつかの根拠のない中傷を投げかけることによって冷戦戦略を続けた。これは、あるパーティーへ行って、その主催者にどれほど彼の友人が嫌いかを言うようなものである。ベネズエラへの儀式的非難の後、クリントンは、「私たちは、ベネズエラがもっと南へ目を向けて、ブラジルへ目を向けて、チリそしてその他成功している国のモデルへ目を向けていたらと思います。」と述べた。

ブラジルのセルソ・アモリン外相は、外交で対応したが、国務長官の中傷に対する外相の断固たる拒絶は間違いなかった。外相は、クリントンが指摘した「ワンポイント」に同意して、「ベネズエラはもっと南へ向くべきであること…だから我々はベネズエラをメルコスールの正式加盟国として加わるよう招待している。」と述べた。クリントン氏の右翼連合のパラグアイ議会(この国の独裁政権と60年間の一党支配の遺物)は、現在南米貿易ブロックのベネズエラの加盟を足止めしている。これは、国務長官がブラジルから聞きたかったものではない。

ブラジル人たちはまた、イランに対する新たな制裁の呼びかけで米国政府に加わるよう圧力をかけるというクリントンのむしろ非外交的試みを拒否した。「イランを壁に追い込むのは賢明ではない。」とブラジルのルラ・ダ・シルバ大統領は述べた。「賢明なことは、交渉を練り上げることだ。」

「我々は、我々が同意しなければ単純に発展する合意に屈することはない。」とアモリンは、クリントンとの記者会見で述べた。

クリントン国務長官は、イギリスに対してアルゼンチン政府と席を共にしてマルビナス(フォークランド)諸島を巡る論争を話し合うよう呼びかけるアルゼンチンへの譲歩をひとつ行なった。しかし、米国政府がこれを実現するために何か行なうことはありえないように思える。

現時点で、次の重要なテストはホンジュラスであろう。クリントンは、ホンジュラス政府の弾圧をごまかす米国政府の試みを続けるのか?あるいは長官は、その他の[西]半球の国々、そしてまた彼女が所属する民主党の連邦議会議員に耳を傾け、そしてメル・セラヤの自国への帰還を含め、人権に関するいくつかの譲歩を求めるか?この話題は、米国メディアの注目をほとんど集めないかもしれないが、ラテンアメリカは見ているだろう。

translation by Valparaíso

原文URL: http://www.venezuelanalysis.com/analysis/5181

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