ベネズエラ経済の現状と課題

ベネズエラの回復は経済政策次第

2010年4月19日
文/マーク・ワイズブロット
記事元/ルモンド・ディプロマティーク

ベネズエラの記録破りの経済の拡大の間ずっと、反政府派(これには国際メディアの大部分と米国政府も含まれる)は、ロックの殿堂バディ・ホリーが歌っていたように、「泣いて、待って、望んで」いた。「石油の暴落」はすぐそこだと、彼らは祈り、書いた。しかしチャベス政府が初めて国有石油企業を管理下に置いた2003年第1四半期から5年半、実質経済は95%成長した。貧困は半減、極貧は70%以上削減され、1人あたりの社会福祉費は3倍以上になり、保健と高等教育の利用は急増した。有権者たちは、2006年に63%というチャベスの自己最高の大差での再選で彼を報いた。

そしてアメリカ経済が景気後退に突入した2007年末、ベネズエラ経済が減速し始めた。2008年第4四半期、国際原油価格が突然暴落し、6ヶ月でピーク時の137ドルからたった41ドルへ下落した。ベネズエラは、2009年に3.3%経済が収縮して、2002~03年の反対派による石油スト以来初めて景気後退に入った。チャベスの敵の祈る人びとは、以下のように回答した: 最近では1973~77年のようなベネズエラの「石油ブーム」はついに破綻した。経済の崩壊が次に来るだろう。

しかし、そうなるだろうか?ベネズエラの景気後退で何が起こったかを見てみると、それはすべて回避できる可能性があったように実際見受けられる。2008年を通して既に失速していた民間支出は、2008年の第4四半期に石油価格が暴落したとき、更に下落した。当時、民間需要の下落を補うのに必要なだけ公的支出を広げるために、政府は強力な財政刺激策を講じる必要があった。しかしそうしなかった。代わりに、公共部門の成長は急激に落ち、2008年の16.3%に比べて09年は0.9%だけ伸びた。

財政政策に関して、長い間二重基準があり(世界通貨基金[IMF]とその他の多国籍リーダーたちがよく推進しているもの)、それは米国やイギリスといった富裕国が経済の悪化に対応する大規模な赤字を出すべきであり、しかし発展途上国はそうできないというものだ。あるいは更に悪いことに、途上国は逆のことをしなければならない(景気後退の間、支出を削減し、公的財政赤字を減らす)ことだ。しかし実際、発展途上国は景気後退に対応するためにうまく拡大財政政策を使うことができる。中国は、2009年の世界景気後退の真っ只中を8.7%の成長で突き進んだが、大規模刺激策のおかげである。もちろん、それは中国政府が銀行制度を管理することを助け、そして銀行に貸すことを強制できた。そしてGDPの20%は公共投資である。しかし、これらの利点を持っていないボリビアでさえも、大規模でタイミングのよい財政刺激策を使い(自国経済と比較して、米国のそれよりも何倍も大きい)、昨年約3%成長した。(それは西半球で最高の実績であり、他のほとんどの国々の経済は後退した)。

景気後退の間、拡張財政政策を目指す際に発展途上国が直面する縛りは、国際収支の危機を避けるために外国為替の適正レベルを維持しなければならないことだ。これは、輸入品に対して自らの通貨で支払うことができる米国とは異なる。

ベネズエラは、2008年に巨大な経常黒字を記録した(ドルを蓄積していたことを意味する)。石油価格がした時、この黒字は瞬く間に赤字へと転落した(しかし6ヶ月のみ)。政府は、輸入品への支払いのため国際準備に手をつけた。しかし、経済を収縮させる必要はなかった。国際準備は相当な量を維持し、資本の逃避を削減し、または必要なだけ海外から借りてさえいたため、更に国際準備に手をつけることができていた。ベネズエラの外国の公的債務は非常に低く、GDPの11%程度で、公的債務総額は、GDPの20%だけである(対して、米国ではGDPのほぼ100%)。政府は自らの刺激策のために外国為替は必要なく、(輸入も下落する収縮経済とは逆に)成長経済においては、適正なを維持するために輸入を賄う分だけ必要である。

このすべては重要である、なぜならば大部分の人びとが考えるようにベネズエラ経済の成長はそれほど直接的に石油価格とつながっていないことを示すからだ。政府は石油価格の暴落時に、安定成長を維持する能力がある、特にこれほど公的債務のレベルが低く、比較的高いレベルの国際準備がある時には。

過去7年間にベネズエラが直面したその他の経済問題は、過大評価通貨である。2003年、政府は、1ドルに対して1600(現在は1.6ボリバルに再デノミされた)の為替レートに設定した。2005年には2.15まで二度引き下げられ、今年1月まで維持された。

問題は、ベネズエラの通貨はこの固定比率で次第に過大評価が膨れ上がっていることだ。ベネズエラのインフレーションは、貿易相手国よりも非常に高くなっている(過去7年間、年率平均21%となっている)。これは、名目上の為替レートが固定されれば、通貨は実質価値が上がることを意味する。最初に固定された段階で、通貨が過大評価されていなかったと仮定すれば、同様の実質為替レートを維持するために、今年初めまでに1ドル当たり約5.13まで下落していなければならないだろう。その固定為替レートで、おそらく130%以上過大評価された。

過大評価された為替レートは、外国市場でベネズエラの輸出品を高額にし、輸入品を人為的に安くする。これは、ベネズエラにとって石油から脱却して経済を多様化することを難しくし、おそらく不可能にし、そして実際、国は過去7年間そうしていない。

1月9日、政府は大部分の輸入品に対して、1ドル当たり4.3ボリバルへ通貨を切り下げた。同時に、食料品、教育、科学技術、保健、機械設備、海外に住む学生への家族による送金を含む必要と見なされた部門に対して、1ドル当たり2.6のより高い比率が設定された。

通貨切り下げは、為替レートを競争力のあるレベルまでより近づける。しかし、おそらくまだ先があり、不運にもインフレは高比率が続き、通貨の実質上の過大評価は急激に増加するだろう。インフレ自体は二次的問題である。2009年には25.1%で(前年の30.9%からダウン)更に引き下げる必要がある。しかし、多くのマクロ経済研究が成長を減速させると見る20.9%のラインからはそう遠くない(しかし経済学者の間ではこれについて大きく意見の相違がある)。

ベネズエラはおそらく、資本規制を保持するが競争力のある為替レートを維持することによって、経済が石油から脱却して多様化できる、より柔軟であるが管理為替レート体制のままの方がよいだろう。これは少なくとも、(何十年もの新自由主義の後)西半球の諸政府の間でいまだにほとんど存在していないものである経済発展戦略を目指す可能性を与えるだろう。

一方、石油価格は急速に回復しており、現在1バレル80ドルである。政府にとって、今年、急速な経済成長を回復することは、もしそう選択すれば、難しくはないはずだ。米国エネルギー情報庁は、国際石油価格が2020年までに1バレル98ドルまでほぼ堅調に上昇するだろうと予測しているが、そのような長期予測は不確かだ。ベネズエラは、5千億バレルと目される現在世界最大の石油埋蔵量と確認されているものの上に座しており、同国は現在地中から年間10億バレル未満を掘り出す。外国石油企業は、政府との共同ベンチャーに対して新たな興味を示している。

チャベス政府は、石油資源の管理権を持ち続け、基本的マクロ経済政策を正しい方向に向ける限り、新たな経済的、政治的手法を試し、その誤りそして成功から学ぶ十分な余地を持っている可能性が最も高いだろう。

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マーク・ワイズブロット(Mark Weisbrot)・・・ワシントンDCにある経済政策調査センター(Center for Economic and Policy Research) 共同理事。ミシガン州立大学で経済学博士号取得。経済政策、特にラテンアメリカと国際経済政策に関する論文を多数執筆。また、ディーン・ベイカーと「社会保障-まやかしの危機(原題)」[Social Security: The Phony Crisis (University of Chicago Press, 2000)]を共著、そしてJust Foreign Policy の代表を務める。この記事は、フランス語でルモンド・ディプロマティーク2010年4月号に掲載され、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下でCEPRにより英語で発表された。

Source URL: http://venezuelanalysis.com/analysis/5293
translation by Caracas Café

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