CELAC創設:裏庭からの脱却

裏庭からの脱却:米政府に挑む新ラテンアメリカ・カリブ海ブロック

2011年12月7日
ベンジャミン・ダングル

TowardFreedom.com

たくさんのラテンアメリカおよびカリブ国家首脳が空港を出て、車パレードやホテルの部屋に入っていった時には、雨雲が緑豊かな山腹とベネズエラのカラカスを取り囲む貧困地域を包み込んだ。 首脳らは、アメリカ政府の力の範囲外で、民族自決を目指す新しい地域ブロックであるラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)の設立サミットのために集まった。

特筆すべきことは、米国およびカナダの大統領は不在だったことだ。(両国とも招待されなかった) 米政府によるこの地域への干渉の口実として使われてきた1823年に作られた米国の政策のことを指し示し、ニカラグアのダニエル・オルテガ大統領は、CELACの設立について、「モンロー主義への死刑宣告だ。」と述べた。 実際に、CELACは、米国の影響力の強い米州機構(OAS)に替わり、ラテンアメリカとカリブ海の統合を強め、この地域自身によるより平等で公正な社会をつくる組織として、多くの参加大統領らによって推進されている。

CELACの会合は、米政府の存在が衰退している時に開催される。 米政府がラテンアメリカ各国で独裁者らを支援し、戦争を仕掛けた冷戦の悪夢のような数十年ののち、新しい時代が幕を開けている。過去10年間は、左派大統領の波が、社会主義と反帝国主義を土台として政権の座に就いている。

CELAC創設は、この新しい現実を反映し、米国による支配に対する進歩的な代替としてラテンアメリカおよびカリブ海を統合することを目指す最近の様々な進展の一つである。 他のそのような地域ブロックには、米政府からの圧力抜きに対外的危機をうまく解決している南米連合(UNASUR)、国際通貨基金と世界銀行に取って代わるものを提供することを目指す南米銀行、そして北米自由貿易協定(NAFTA)をラテンアメリカ全土に広げようとしたが、地域の反対により失敗した米州自由貿易協定に替わるものとして、米州ボリバル同盟(ALBA)が含まれる。

CELACの会議の間、世界経済危機が多くの首脳らの頭の中にあった。 会議の中の演説で、ボリビアのエボ・モラレス大統領は、「それは資本主義の末端、構造的危機であるように思える。」と述べた。 「討論するのにちょうどいい時期に私たちは集まっているように感じる・・・アメリカ合衆国なしの、アメリカ諸国の偉大な結束だ。」

CELACを構成する33カ国には、約600百万人におり、地域全体では世界第1位の食糧輸出となる。 このブロック合計の国内総生産(GDP)はおよそ6兆ドルであり、世界の経済的な窮地の時に、この地域は過去20年間で最も低い貧困率を示す。2010年の成長率は6%を超え、米国の二倍以上であった。 これらの数値は、この地域の社会的なプログラムおよび貧困撲滅策の成功を反映する。

Telesurのインタビューで、エボ・モラレスは、CELACによって開かれたスペースが米国およびヨーロッパの不安定な市場に左右されない形で、ラテンアメリカそしてカリブ海の貿易を拡大する大きな機会を与えると述べた。 この点でモラレスは、CELACの主目標が、「社会的な問題を解決するために競争的商業に代わり、補完を伴う団結の政治を実行する」ことだと見なした。

米国がほとんどのラテンアメリカおよびカリブ海諸国にとって第1位の貿易相手国である一方、中国もまた大きく入り込んできており、ブラジルやチリといった経済大国の主要な貿易相手国となっている。 この変化は、中国の胡錦濤主席がCELACを構成するリーダーらに祝辞の書簡を送ったという事実によって明確にされた。 チャベスが、サミット参加者たちに読み上げたこの書簡は、CELAC創設に対して国家首脳を祝し、地域の新しい組織との関係拡大へ努力すると約束していた。

米国側としては、祝辞を一言も送らなかった。 実際に、米政府のCELAC会議に対する公式の見解は、新しいグループの重大さを軽視し、OASに対する米国の関与を強固にした。 CELACに対するコメントで、米国国務省のマーク・トナー報道官は、「西半球には多くの地域組織があり、そのいくつかには私達も所属している。 他のもの、例えばこのような組織に、私達は属していない。 私達は、見てのとおり、(西)半球を代弁する随一の多極的組織であるOASを通じて働きを続ける。」

多くの国家元首らは、実際のところ、CELAC会議をこの地域でのOASの終焉の始まりと見なした。 この立場は、エクアドル、ボリビア、ベネズエラ、ニカラグアおよびキューバのリーダーらに最も強く支持されており、中でもベネズエラの大統領で、CELAC会議のホストであるウーゴ・チャベスによって最も明確にされた。 「年を経るにつれて、CELACは古いOASを置き去りにするだろう。」とチャベスは、サミットで述べた。 「OASは、ラテンアメリカの私たち人民や統合の精神にはほど遠い。 CELACは新しい精神とともに生まれる。それはOASと非常に異なる、人民の経済的、政治的、社会的発展のための土台である。」チャベスは、後に記者らに語った、「OASから完璧にサポートを受けたクーデターがたくさんある、そしてCELACではそのようにならないだろう。」

しかし、CELACにかかわる大統領は、政治的イデオロギーや外交政策で広く異なっており、OASとの関係に関して異なる意見があった。 一部は、OASと平行して機能できるものとしてCELACを見なした。 メキシコのパトリシア・エスピノーサ外務長官は、OASおよびCELACは「協同と対話のための補完組織」であると述べた。

CELACの試練は、そのような違いをどのように乗り越え、地域統合を発展させ、貧困とたたかい、人権を支持し、環境を守り、平和をつくるなどの目標へ向かって確固たる一歩を踏み出すかである。 2日間の会議の最終合意では、南南ビジネスと貿易協定の拡大、気候変動とのたたかい、そして排除されているコミュニティに影響を与えるための地域全体へのよりよい社会プログラムをつくることについて触れられた。 さらに、CELAC参加者らは、コカ葉(薬や文化的目的でアンデス地方で広く使用されている)の合法化を支持し、移民や移住者の犯罪化を非難し、対キューバ禁輸措置で米国を批判した。

これらの大きな問題に対してどう当たるか、CELACで様々な大統領が意見を述べた。 ニカラグアのダニエル・オルテガ大統領は、CELACが米国の対麻薬政策を「監視し、評価」すべきだと述べた。 米国での麻薬の消費が続ける限り、「どれだけ資金をつぎ込もうが、どれだけ血が流されようが」麻薬取引を終わらせられないだろうと、オルテガは述べた。

しかし、CELAC組織内部にも多くの食い違いがある。 グループは民主主義のためであるが、2009年の軍事クーデター後の不正選挙でマヌエル・セラヤに取って代わったホンジュラス大統領のポルフィリオ・ロボの参加も含まれる。 CELACは環境保護のためであるが、最大の参加国であるブラジルは、田舎を破壊し、小規模農家を路頭に迷わせる、生態学上多大な損害を与える農業モデルである大豆プランテーション、遺伝子組み換え作物、そして有害な農薬を推進している。 グループは、より公正な貿易のネットワークと平和のためであるが、様々な参加国が既に米国との破滅的な貿易定に調印し、地域全体の政府のハイレベルな部分で汚職にまみれた政治家が、国際麻薬取引の暴力と利益と深く結びつく。

これらは、ラテンアメリカとカリブ海の統合と進歩に向けられる深刻な障壁のいくつかであるが、新しいブロックの歴史的、政治的重要性を消し去りはしない。 CELAC創設の意志は、おそらくこの地域の独立と統合のためのたたかい、およそ200年前に始まり、ラテンアメリカの解放者シモン・ボリバルによって大部分率いられたたたかい、そのボリバルの遺産はCELAC会議で幾度となく引き合いに出されたが、そのたたかいを深める重要なステップであると証明するだろう。

ボリバルの死の1年前の1829年、彼の残した有名な言葉がある、「自由の名の下で、アメリカ合衆国は、神によって運命付けられたように見せかけてアメリカに苦難を広める。」しかしカラカスの空の下でのCELACの創設とともに、自決へ向けての行進はいまだ続いている。

***
CELACの会議に出席したベンジャミン・ダングル氏は、「Dancing with Dynamite: Social Movements and States in Latin America (ダイナマイトと踊る:ラテンアメリカの社会運動と国家)」、(AK Press, 2010年)、「The Price of Fire: Resource Wars and Social Movements in Bolivia (火の価格:ボリビアの資源戦争と社会運動)」(AK Press, 2007年)の著者である。 世界の出来事における進歩的な見解を示すTowardFreedom.comと、ラテンアメリカの活動と政治に関するウェブサイトUpsideDownWorld.orgの編集を務める。

translation by Caracas Café

広告

コメントは停止中です。

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。